Leuze SmartID-Edge
エッジレベルでの知的で確実な識別により実現する、物体と工程のこの上ない透明性

Leuze Smart ID Edgeは、製造および供給チェーンにおけるトラッキングやトレーシングの要件のため識別システムとセンサのネットワークを管理します。1Dスキャナまたは2Dカメラシステムの間の安全確実な通信は、OPC UA、およびAutoID Companion Specificationの統合を通してエッジレベルで行われます。
メリット:識別されるそれぞれの物体はそのコードで表されるほか、エッジシステムの仮想タグ上にマッピングされます。そして、さらなる工程、ステータス、およびセンサに関する情報を仮想タグに割り当てることができます。このデータは、すべての工程にわたりリアルタイムにて閲覧可能です。さらにデータの交換は、ネットワークの境界を横断して同期化されます。すなわち、連続的な工程のトラッキングのためのすべての情報を、フィールドレベルで即座に閲覧することができるということです。これにより、MESなど、より高いレベルのITシステムにかかる負担が軽減されます。

デジタル化とネットワーク化は、現代において重要なテーマとなっています。産業界において、それらはインダストリー4.0やインダストリアル・モノのインターネット(IIoT)といった考え方につながっています。ネットワーク化は、生産やロジスティクスに導入されている今日の自動化システムにおいて特に重要な役割を果たします。目的は、製造工程のステータスをいつでも正確に呼び出し、製造データの全体像をフィールドレベルで維持することです。これについて、以下のような重要な疑問がわきます。ユーザーが、製造工程において最大限の透明性を達成するにはどうすればよいのか?ネットワークに関与するものの間で行われる通信は、どれほど安全なものなのか?
効率的な識別のために求められること
製造部門やイントラロジスティクスに導入されている近代的な自動化システムは、数多くの制御システム、センサ、アクチュエータを備えています。それらはEthernetを基盤とする通信システムやフィールドバスシステムを介して相互につなげられ、ネットワーク化されています。センサはイベントに基づいた信号を生成し、製造工程を起動させたり、測定値を提供して現在の製造工程が正しく行われていることと品質要件をモニタリングします。2DカメラシステムやRFIDリーダーなどのAutoIDシステムが製造工程と材料フローにある物体、荷重キャリア、容器を識別します。


近代的な識別システムであれば言うまでもなく、識別される物体に応じて、さまざまな量のデータとさまざまなコードシステムを取り扱うことができなければなりません。しかし、従来の1D/2Dコードでは、こうした能力は限定的です。なぜなら、Global Trade Item Number(GTIN)などの標準化されたバーコードでは定義済みで変更不可能で、限られた量のデータしか提供することができないからです。さらに、バーコードであれば、それが表す完全なデータ記録が保存されているMESやERPなど、より高いレベルのITシステムへのアクセスを常に必要とします。RFIDには、物理的な原理によるその他の利点に加え、使用されるデータキャリア(いわゆる「タグ」)の柔軟性による恩恵ももたらされます。これらは通常、自由にプログラミングができる電子メモリが備えられています。すなわち、ある特定の状況に求められる製品と工程に関するデータを直接物体に保存できるということです。しかし、経済的、ならびに技術的な理由でRFIDを採用するのが必ずしも実用的、あるいは可能であるというわけではありません。バーコードからRFIDへと、頻繁に媒体を変更するというのも、連続性のある製造工程において望ましいことではありません。なぜなら、自動化のプロセスとデータハンドリングにより多くの労力を払う必要性が生じるからです。
SmartID-Edge:より知的にデータを活用する
そこで登場するのが、LeuzeのSmartID Edgeという考え方です。これは、従来の光学バーコードの技術を保持しながら、標準化されたRFID機構を使って識別データを処理し、保存するものです。これは、RFIDデータ構造とコマンドセットを標準バーコードスキャナとカメラベースのスキャナにリンクさせて実現します。このとき、OPC UAをデータ交換基準として用い、完全統合化したAutoID Companion Specificationを採用します。それぞれの物理的なバーコードには、エッジサーバ上のデータベースに保存されている仮想的なRFIDタグが割り当てられます。データは、バーコード機器とエッジサーバの間に限り、フィールドレベルで交換されます。システムの管理システム、たとえばPLCは、エッジサーバにアクセスすることができません。PLCがアクセスできるのはバーコード識別システムのみです。ただし、RFIDシステムのように動作します。


これにより、製造工程において物体を識別する際にデータを強化するというこれまでにない可能性が開かれます。固有の物体IDに加え、識別システムのステータス情報、読み取りの質、その他の工程とステータスに関するデータをデータ記録に保存することが可能です。このデータ記録には、フィールドレベルにてリアルタイムで直接アクセスすることができます。MESおよびERPのシステムへのクエリは必要なくなりますので、ネットワーク内のデータ通信量が軽減され、ITレベルで自由に使えるシステムリソースが増えます。複数のローカルセンサおよびAutoIDネットワークを、分散したエッジサーバを通して同期化させることができます。これはすなわち、すべての識別イベントがネットワーク全体で常時把握できるということです。これらのローカルイベントを、製造ライフサイクル全体でエッジデータベースに保存されている関連情報をリンクさせることで、デジタルツインのための基盤をもたらします。これは、APIとクラウド接続でエッジサーバを拡大することで、さまざまなサプライヤーとプラントが存在する供給チェーンにおいても実現できます。こうすることで、ロジスティックはより効率的に作業をすることができ、手動によるデータ入力を廃止して、ビジネス用ソフトウェア(ERP)における複雑なシステム移行を回避できることにつながります。
最大限のセキュリティ
安全確実な通信を実現する手段は、ネットワーク化したシステムをトラブルなく、円滑に利用する上で欠かせません。SmartID-Edgeソリューションなら、統合化したセキュリティ機構を複数提供することができます。ProfiNet、Ethernet/IP、あるいはEtherCATなど、Ethernetを基盤とするインターフェースやフィールドバスを介した通信を行う近代的な自動化コンポーネントや識別システムは、統合化したウェブサーバを備えています。ウェブサーバにより、ローカルネットワークに存在する機器に便利にアクセスすることができます。適応性、精度、および性能に関する必要条件を満たすために機器のファームウェアに必要な更新は迅速に、かつ信頼性が高く、安全確実な方法で行われなければなりません。このため、機器を交換することなく認められた機能的な改善を取り入れ、新しい機能を自動的に実装することができます。同時に、認可されたファームウェアのみが機器に読み込まれることと、データ転送に手を加えることができないことが保証されなければなりません。安全確実なデータ送信のためのこれらの要件は、特にEUのサイバーレジリエンス法を理由に、ネットワークにおいてローカルに、ならびにクラウドシステムを経由して通信を行う近代的な自動化システムには欠くことのできない礎となっています。


OPC UAは、一体型のエンドツーエンドの暗号化を特性とする相互運用が可能で、Ethernetを基盤とする通信プラットフォームを提供します。さらに、OPC UA Device Interface Specificationのパート100に、ベンダーから独立してソフトウェアの更新を実行および管理するための手順が定められています。ハードウェアリソースが限られた機器には、直接的に読み込む手順が推奨されます。新しいソフトウェアがファイルのアーカイブとして転送され、これにより解凍後ただちに固有のヘッダーで各ファイルが確認され、インストールされます。最終チェックの後、機器は再起動されます。OPC UAを経由したすべての通信、ならびにソフトウェアのダウンロードも、クライアントとサーバの間で証明書が交換されることで安全が確保されます。外部のGlobL Discovery Server(GDS)を介した自動による証明書の交換により、OPC UAネットワークにおけるアプリケーションと証明書の中央管理が安全確実に行われます。このように、ネットワークに関与するものの間で行われる通信は、セキュリティに関する最高水準の要件を満たしています。データに手を加えることはできません。これにより、それぞれの機器は常に、最新の状態の専用ファームウェアで常に動作することになります。
概要
SmartID Edgeは、フィールドレベルのネットワーク化識別システムのために強力なプラットフォームを提供します。エッジサーバと仮想データキャリアを使用したデータハンドリングという特別なコンセプトは、トラッキングとトレーシングのアプリケーションに最大限の透明性をもたらし、供給チェーンのあらゆる地点で物体と工程のデータにリアルタイムで効率的にアクセスすることを可能にします。この一体型のセキュリティ機構のおかげで、サイバーレジリエンスのための高度な要件も満たしています。
